裁判員制度の施行と被疑者国選弁護制度の拡大にあたっての会長声明 

本日、裁判員制度が施行になりました。本日以降に起訴された一定の重大な刑事事件について、原則として6名の市民が裁判員として裁判に参加し、3名の裁判官とともに、有罪か無罪かを決め、有罪の場合にどういう刑罰にするかを決めるという制度です。裁判の進め方やその内容に市民の視点、感覚が反映され、裁判全体に対する国民の理解が高まり、裁判がより身近に感じられ、司法への信頼が高まることが期待されています。国民の皆様に負担をかける制度ではありますが、国民が裁判に参加することの意義を理解していただき、積極的に参加されることを期待します。

私たち弁護士は、裁判員裁判に被告人の弁護人という立場で関与します。弁護人としての弁護士の活動が国民の皆様の眼に触れることも多くなると思います。私たち弁護士は、被告人の権利を擁護し、その上で分かりやすい裁判の実現のために精一杯努めます。

また、本日、被疑者国選弁護制度が拡大され、いわゆる必要的弁護事件について身体を拘束されている場合には、被疑者国選弁護制度が利用できることとなりました。

平成元年1月31日、静岡地方裁判所で島田事件について再審無罪の判決が言渡されました。その年の9月に松江市で行なわれた日本弁護士連合会の人権擁護大会で、私たち弁護士は、刑事弁護の充実強化を通じての刑事司法改革をなしとげることを宣言しました。平成2年には、日弁連刑事弁護センターも発足し、被疑者弁護の充実のための当番弁護士制度も始まりました。それから、20年が経ちました。多くの先輩弁護士が目指した被疑者弁護の国選制度が、本日からいわゆる必要的弁護事件についてまで拡大され、ほぼ実現しました。私たち弁護士は、今後とも、充実した被疑者弁護を実践できるよう精一杯努力します。

昨年12月からは刑事裁判への被害者参加の制度も始まっています。私たち弁護士は、犯罪被害者に支援活動も積極的に行なってきましたが、今後も、犯罪被害者の立場を理解しできる限りの支援ができるように努めます。

当会は、国民の人権を守るために刑事司法改革を進め、裁判員制度に対する国民の理解と協力を得られるように努めるとともに、高い質の弁護活動を実践し、裁判員制度をより良いものとしていくための努力を続けます。

2009(平成21)年5月21日
静岡県弁護士会
会長 鈴木 敏弘

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