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全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明


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1 現行の国選付添人選任制度の対象事件は,検察官関与決定あるいは被害者傍聴の申出がされた事件以外は,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件か,死刑または無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪の事件に限定されている上,選任の要否は裁判所の裁量によるものとされており,きわめて限定されている。

しかし,観護措置決定を受けて身体を拘束されている少年は,少年院送致などの重大な不利益を伴う処分に付される可能性に直面している上,家庭環境や生活環境等に問題を抱える者も多く,成人の刑事被告人と同様か,むしろそれ以上に,弁護士付添人による権利擁護の必要性が高い。とりわけ,少年審判手続は,少年の処罰ではなく保護と教育を目的としており,少年との面接や環境調整などの弁護士付添人の活動は,少年の更生にとって非常に大きな役割を果たすものである。

ところが,2008年の統計によれば,弁護士付添人の選任率は,観護措置決定により身体拘束を受けた少年の約40%に止まっており,成人の刑事手続において被告人の約98%に弁護人が付されていることと対比すると,極めて不十分と言わざるを得ない。

また,今年5月には,被疑者国選弁護制度の対象事件がいわゆる必要的弁護事件にまで拡大されたことにより,成人の場合には,ほとんどの事件について,起訴前・起訴後を通じて国費による弁護士の援助が制度的に保障されることになった。しかし,少年の場合には,国選付添人選任制度の対象となり得るごく限られた事件を除いて,少年が私選で付添人を選任しない限り,家庭裁判所送致後は弁護士の援助を受けられないままである。被疑者国選弁護人が選任されていた場合でも同様であるため,少年を被疑者とする事件においては,家庭裁判所送致を境として,手続の途中で弁護士の関与がなくなるという看過できない事態さえも生じていると報告されている。国選付添人制度の対象事件が制限的にすぎるがゆえの不合理が,被疑者国選の拡大によって顕在化しているともいえ,早急に是正する必要がある。

したがって,速やかに,少なくとも成人の国選弁護人選任の範囲と同様,すなわちいわゆる必要的弁護事件の範囲にまで国選付添人選任制度の対象事件を拡大するべきである。そして,将来的には,観護措置決定により身体を拘束された全ての少年事件を国費による弁護士付添人選任制度の対象事件とするべきである。

2 当会は,2007年11月に開催された日本弁護士連合会第50回人権擁護大会の開催地の弁護士会として,同大会において採択された「全面的な国選付添人制度の実現を求める決議」の表明する「全面的国選付添人制度」すなわち,観護措置決定により身体を拘束された全ての少年保護事件に国費で弁護士付添人を選任する制度の実現を熱望してきた。

また,当会は,2007年9月には,観護措置決定により身体を拘束された全ての少年を対象に,少年等の要請に応じて弁護士を派遣し無料で面会をする「当番付添人制度」を発足させ,さらに,日本弁護士連合会の少年保護事件付添援助事業の活用等により,付添人選任率の向上に努めてきたところである。その結果,当会における2009年1月以降の少年保護事件付添援助事業の利用件数は11月末現在で89件であり,当番付添人制度発足前の2005年(当時は少年保護事件付添扶助事業/25件)のほぼ4倍に達する勢いとなっている。

しかし,弁護士付添人による援助の重要性にかんがみれば,付添人選任制度の維持は,本来,国費によってまかなわれるべきである。また,法律援助事業は,本来,国費による弁護士付添人制度の拡大が実現されるまでの時期に,弁護士付添人による援助を現に必要とする少年の権利保障が害されないように,全国の弁護士が拠出する特別会費により運営されている時限的な措置にとどまるものである。

3 そこで,当会は,会内の付添人選任の対応体制を,質量ともにさらに充実させるために,研修その他の活動に会をあげて取り組むことを決意するとともに,国に対し,以下のとおり少年法を改正することを求める。

(1)速やかに,国選付添人選任制度の対象事件を,必要的弁護事件にまで拡大すること。

(2)将来的には,観護措置決定により身体を拘束された全ての少年保護事件にまで,国選付添人選任制度の対象事件を拡大すること。


2010(平成22)年1月18日
静岡県弁護士会
会長  鈴 木 敏 弘
 

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