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教育基本法改正に関する会長声明


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■ 教育基本法の改正に関する会長声明 ■
(2004.07.20)

 今般、静岡県議会において教育基本法の早期改正を国に対して求める意見書の採択が論じられていると伝えられている。
 この議論においては、教育基本法が我が国社会の発展に大きく貢献してきたことを評価しつつも、今日の我が国社会における青少年をめぐる、いじめ、不登校、中途退学、学級崩壊などの諸問題、青少年による凶悪犯罪の増加の懸念などの諸問題を指摘し、昨年3月の中央教育審議会答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」の示す基本方針に基づいて教育基本法を早期に改正することが求められている。
 しかしながら、教育基本法は、憲法の保障する教育への権利を実現するために定められた教育法規の根本法であり準憲法的な性格を持つ法とされているのであるから、その在り方について議論するにあたっては、憲法が明示する原理・価値や子どもの権利条約などが示す国際準則を指標として、これらに抵触することがないよう慎重に行わなければならない。
 この観点から、早期改正論がその拠りどころとする中央教育審議会答申には、様々な問題が指摘されており、昨年、日本弁護士連合会は会長声明において次のような指摘をしている。

  1. 「21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成」をめざす観点から教育基本法を改正するとしている点は、教育を国家に有為な人材作りとして行うことをめざすものであって、憲法の保障する「個人の尊重」に基く人権としての教育への権利の実現を危うくするものである。

  2. 「法改正の全体像を踏まえ、新たに規定する理念として」、「まず自らの国や地域の伝統・文化について理解を深め、尊重し、日本人であることの自覚や、郷土や国を愛する心の涵養」を加えるとしている点は、公教育の場において「国を愛する心」を押し付けて個人の内面価値にまで立ち入る結果を招き、内心の自由を保障する憲法19条に抵触するおそれがある。

  3. 家庭(保護者)の果たすべき役割や責任について新たに規定するとしている点は、本来私事である家庭教育に国家が介入することを認めるものであり、親が教育に関して責務とともに権利を有しているとする国際準則に照らしても、疑問がある。

  4. 他方で、男女共学の規定(5条)を削除することが適当とする点は、男女共同参画社会を実現し、教育制度・教育課程になお存するジェンダー・バイアスの問題を払拭する観点から問題がある。

  5. 国・地方公共団体の責務について規定するにあたり、教育行政が「教育内容」にも積極的に介入することが認められているとする点は、「教育内容に対する国家的介入はできるだけ抑制的であることが要請される」と明示する最高裁判決にも反するものである。

  6. 学校の教員に関し、現行法(6条2項)が「自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努め」るとあるにもかかわらず、更に「研究と修養に励み、資質向上を図ることの必要性」を規定すべきとしている点は、教員の自主的研修権を制約し、教員の管理を一層強化して、子どもたちと向き合う教育を困難にするおそれがある。

  7. 国公立学校における特定の宗教のための宗教教育や宗教的活動の禁止についての規定(9条2項)は引き続き残すとしながら、他方で、宗教的情操に関連する教育を「道徳を中心とする教育活動の中で」行うとしている点は、同規定が本来宗教的情操教育を禁止している趣旨に照らすと問題があり、憲法20条に抵触するおそれがある。


 以上のような指摘については、当会としても人権擁護の見地から十分配慮されるべきであると考える。
 教育と次代を担う青少年を巡る諸問題は、多くの国民、県民にとって大きな関心事であり、大いに国民的に議論することが望ましいことである。こうした中で現行教育基本法の理念やその改正の可否についても十分な国民的な議論、慎重な検討が尽くされる必要がある。
 こうした議論、慎重な検討が十分になされないままに中央教育審議会の答申の方向性によって教育基本法を早期改正すべしとするべきではないので、このような趣旨の意見には反対するとともに、教育基本法の改正の可否の議論には慎重を期し、十分に検討と議論を重ねるように、強く要望するものである。

以 上
2004(平成16)年7月20日
静岡県弁護士会
      会長 小 川 良 明
 

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