憲法記念日を迎えての会長談話 

日本国憲法が施行されてから、77回目の憲法記念日を迎えました。

日本国憲法は、個人の尊重を中核とした基本的人権の尊重、国民主権、恒久的平和主義の3原則を定めております。

現在、いわゆる再審法改正の問題が注目されております。再審法とは、刑事訴訟法の中の再審手続が定められている箇所のことです。

えん罪は、国家による最大の人権侵害の一つです。個人の尊重を最高の価値として掲げる日本国憲法の下では、無実の人が処罰されることはあってはなりません。再審手続は、えん罪被害者の最終的な救済手段です。しかし、現行の再審法における再審手続では、証拠開示の具体的な規定がなく、検察官の抗告も禁止されておりません。そのため、再審無罪を求める事件は、不当に長期間に及んでしまっております。これでは、刑事再審において憲法31条に定める適正手続が定められているとはいえません。

当会は、えん罪被害者の速やかな救済のために、憲法の理念に沿った再審法の改正に向けて、「再審法改正プロジェクトチーム(再審法改正PT)」を立ち上げ、強力な活動を展開してまいります。

本年4月、日本弁護士連合会において、初めての女性会長である渕上玲子会長が就任しました。同会長は、就任の挨拶において、任期中に取り組んでいく課題の一つとして、「法制審議会で議論されてから四半世紀経ても実現していない選択的夫婦別姓制度の実現に向け、国会および政府に強く働きかけていきます。」と述べております。 夫婦同氏を強制する民法750条は、憲法13条、14条、24条に違反するものです。当会も、これまで度々民法750条を改正し選択的夫婦別姓制度を早期に導入することを求めてきましたが、引き続きこの実現に向け努力してまいります。

当会は、日本国憲法の理念が生かされる社会の実現を目指して今後とも努力を重ねるとともに、弁護士の使命である基本的人権の擁護と社会正義の実現に向けて、より一層真摯に活動を行なっていく所存です。

 

2024年(令和6年)5月3日
静岡県弁護士会
会長 梅田 欣一

 

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